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モロッコ(マラケシュの旅)

モロッコ(マラケシュの旅)

2016/07:STORY
Sally




私は何度か転職をしているのだが、仕事を辞めたタイミングで必ず長期旅行へ出ると決めている。

というより、辞めなければ長期旅行へ出られない と言った方が正しいだろうか。
長期といっても2週間かそこらなんだけど。
たった十数日の連休を貰えない企業が日本にはまだまだ存在するのである。
まぁそんな話はさておき、帰国後ものんびり静養出来るとなれば能天気な私としては
どうせならなかなか行けない遠い所まで足を運んでやろうと考えてしまうわけである。
で、今回はモロッコへ行くことに決めた。



実は出発の10日ほど前に10周年記念のキャメルが発売された。

手元には長年使っているブラウンがあったのだが、私はキャメルという色が大好きで
近所の有隣堂で実物を見てしまった日には
この子を連れてサハラ砂漠へ行き、同じキャメル色した砂に
トラベラーズノートを半分埋めて写真を撮る。という妄想が膨らんで、そのままレジへ直行。
こうして私は新たなトラベラーズノートとともにモロッコを旅することになった。



モロッコという国は乾いた砂のイメージが強かったが、緑が多くて穀物も豊富。
そこにはとても豊かな食文化が根付いていた。
タジン、クスクス、タンジーヤ、ケバブ、ハリラ。
オレンジジュースにいたってはあまりの別格の美味しさに感動しっぱなしだった。

毎日食べたものをトラベラーズノートに書き記す。
おかげで4キロも太って帰国した。



使い込むほどに味が出るトラベラーズノートは、いくつも所有するより
一つだけを長年愛でていきたいという想いがあるのだが、チャームだけはその時の気分で
取っ替え引っ替えしている。
旅立つ直前に購入したキャメルにはマラケシュのスークで見つけたファティマの手を付けることになった。



「トラベルの語源がトラブル」とはよく言ったものだ。 
砂漠ツアー出発の前日、カフェでトイレに席を立った隙に
ジャケットのポケットからiPhoneを擦られた。
犯人は店員だと特定できる状況にあったため、翌日宿のオーナーと一緒に被害届を出すため警察署へ。
その手続きのせいで、やむなく砂漠ツアーをキャンセルするはめになった。



ツアーの返金手続き、携行品保険の手続き、一時の連絡手段に携帯やPCを貸してくれた方々、
このiPhone紛失騒動では実にたくさんの人たちに助けられた。
一言でまとめるなら、これが俗に言う
「異国の地で人の暖かさに触れることも旅の醍醐味」ってやつなのだろう。

砂漠ツアーに参加できなかった分思いっきりマラケシュの旧市街を堪能できたのだが
サハラの砂を持ち帰るつもりで、到着初日に買ったエキゾチックな小瓶は
中身が空っぽのまま今日も自宅の玄関に飾ってある。
それを見るたびに楽しかった思い出と、砂漠に行けなかった悔しさが込み上げてくる。
リベンジしなければ。
またキャメルのトラベラーズノートを連れて、いざ モロッコへ。