

『再会・5』
定期的にやって来るマイレージの有効期限。久し振りに2014年にやって来た。航空会社から利用客達への感謝の気持ちのはずなのに、感謝の気持ちに有効期限が切られているのは何故なんだと毎回思いつつ、損しないように必死に算段している自分と再会した。
鹿児島にある大好きな焼酎バーが場所を変えてリニューアルしたと、オーナー自らご連絡をいただいたので、それではマイレージを使って行ってみようと真っ先に考えた。
しかし、鹿児島は、2011年、2013年と、割と短い間隔で訪れていて、まだまだ記憶に新しい旅先だ。この2014年は嬉しい再会がたくさんあった1年だったので、せっかくだからご無沙汰しているところへ行ってみようと、同じ九州でも大分へ行くことにした。
2014年10月のある週末、約12年振りに大分空港に降り立った。2002年のあの日韓共同開催で行われたサッカーのワールドカップのとき以来の再訪となった。
2002年当時、ワールドカップの仕事で大分に空港に降り立つと、真っ先に目指したのは、バス乗り場ではなく、ホバークラフト乗り場だった。
初めて本物を目にしたときは、子供の頃に乗り物図鑑で見たのと同じだと思ったことを今でも覚えている。そのホバークラフトは2009年に廃止になったとのことだ。
台風が近づいていたこともあり、約12年振りの再訪は天気には恵まれませんでした。
久し振りの大分空港から初めてバスに乗り、市内を目指した。
台風が近づいていて、あまり天気がよくない中、走り始めてしばらくすると、車窓の両側に豊後灘が見えて来て、海を跨ぐようにバスは進んで行った。快晴のときにここを通ったら、かなりの絶景が楽しめると思った。この景色を楽しむことを再訪の楽しみにしようと真っ先に思ったほど絶景だった。
初めて目にする景色を見ているうちに、バスは終点である大分駅に着いた。大分駅は工事中で駅周辺も再開発が行われているようだった。駅前から7,8分も歩けば滞在するホテルに辿り着けるはずだ。地図を片手に歩き出す方向をチェックしていると、バスで隣の席に座っていた女性が声を掛けてくれて、目指す方向を教えてくれた。ああ、旅先にいるのだなと
思った。東京ではほぼ経験出来なくなった親切に触れて、いい旅になりそうな予感がした。
宿泊先に選んだFORZAは、ホテルに関する新書を読んだときにその存在を知り、泊まってみたくなったホテルだ。九州でしかチェーン展開をしておらず、評判もいい。さすがに人気なのか、キャンセル待ちが出て予約が取れたのは、出発の3日前だった。どうしても泊まりたい旨を伝えて、
数日間同じ時間に予約課へ電話を入れたのが功を奏したようだった。
このホテルに宿泊することもこの旅の目的だったので、予約が取れた時点で、1つ目的を達成出来た気がした。
ホテルに関する新書を読んでその存在を知り、泊まりたくなったホテルです。
このホテルについては回を改めて書く予定でいます。いいホテルでした。
旅装を解いてしばらくすると、大分の友人Oさんとの待ち合わせの時間が近づいていた。待ち合わせに指定されたのは、大分のデパート、トキハの前だった。絵葉書など大分のお土産になりそうなものを探そうと思い、少し早めに行って探したが、絵葉書は1枚も置いていなかった。絵葉書はともかく、大分らしいお土産(食べものは除く)も見当たらなかった。その土地に長いこと根付いている老舗で、観光客も見込んで商いをしているはずなのに、少々残念な思いをした。都内で争うように展開されている各県のアンテナショップで、大分のショップを探して後日訪れたが、他の県とは勝負にならないその様子に再び残念な思いをした。
約12年振りに再会したOさんは当時と全く変わっていないことに驚いた。「常にメンテナンスをしている」と言って笑わせてくれた。Oさんの知り合いの方が経営されているお店に案内していただき、美味しい料理をいただきながら、旧交を温めた。
久し振りにお会い出来た嬉しさと懐かしさが手伝ったのか、その場でその美味しさを知った麦焼酎がどんどん進んだ。大分に来たら必ずその麦焼酎を飲もうと思った。
大分と言えば、とり天ですね(笑)。天つゆではなく、勧められるままポン酢でいただきました。
その他にも美味しい料理をたくさんいただきました。
Oさんと再会を約束して別れる間際に、Oさんが私の好きそうなバーを1軒教えてくれた。地図を渡された訳ではなく、ザックリと場所だけ聞いてそのお店を目指した。歩いている途中で、2002年に何度も宿泊したホテルが見えた。条件反射なのか、体が少々痒くなった。このホテルについても回を改めて書こうと思う。この旅で宿泊したFORZAの目と鼻の先にそのホテルがあって、少々驚いたが、その驚きが大分駅から繁華街周辺の地理をハッキリさせてくれた。トラベラー各位もご経験があると思うが、もう地図はいらないと思えた瞬間だった。
ここがそのホテルです。ロビーの中だけでも入ってみようと思いましたが、2002年の記憶を壊したくないので、外から写真を撮っただけにしました。
途中一度だけ呼び込みのお兄さんに場所を聞いたが、ほとんど迷うことなくそのバーに着いた。Oさん分かっているね〜と思わず独り言ちてしまったほど、私好みの店だった。そのバーでは、締めについさっきその美味しさを知った麦焼酎をいただいた。
東京ではやらなくなって久しくなった、飲んだ後の “ラーメン・フィニッシュ“ をしようと思い、バーテンダーにお薦めの1軒を聞いた。せっかく九州に来たのだからラーメンを食べようと思ったのと、スケジュール上そのタイミングしかなかったこともあった。目指す店を探していると、別の呼び込みのお兄さんに声を掛けられたので、探しているラーメン屋の名前を告げた。そこはチェーンだからと、そのお兄さんのお薦めを教えて貰い、旅だから咄嗟の予定変更もありだと思い、その勧められたお店に行った。これが大当たりだった。旅先での最高のトラベル・インフォメーションは、呼び込みのお兄さん達なのではないだろうかと思った。
流れに任せたお陰で出逢えた最高に美味しかったラーメンです。
ラーメン好きの方なら器を見ただけで何処のお店が分かるのでしょうか。
ホテルまでの道すがら、コンビニに立ち寄った。飲みものを買うためであったが、地方に来たときは必ずその土地のコンビニを訪れるのを楽しみにしている。それは、東京ではお目に掛かれない品揃えを見ることができ、
旅先にいることを実感できるからだ。
雑誌のコーナーにあった大分に関するムックを旅の記念に購入した。
この旅を決めてから、ガイドブックをいろいろと探したが、大分に特化したガイドブックで “これ” といったものには巡り会えなかった。
次回の大分の再訪はこのムックをヒントにして旅程を組み立ててみようと思った。
支払いの際に、普段使っているポイントカードが使えた。同じ日本なのだから当たり前なのだが、何となく不思議な感じがした。
このネーミング、このキャッチコピー、そしてそのバランス・・・旅好きなら手に取りますな(笑)。
時間が経っているとはいえ、自分の足跡が残っているところを巡ってみると、懐かしさと新しい発見が次々と目の前に現れた。
ワールドカップで仕事をした札幌も、終了の一月後に再訪したとはいえ、もう12年のご無沙汰だ。仲間達との再会に加えて、この大分での旅で体得した歩き方を札幌でもやってみようと思った。
2015年も嬉しい再会がたくさん待っている気がしてならない。