TRAVELER'S notebook Users Posts(2007-2023)
『右肘、左肘・・・?』

『右肘、左肘・・・?』

2013/09:STORY
Hide

 女王陛下の即位60周年、ロンドンオリンピック、ロイヤルベビー誕生と、イギリスから発信されたここ一年のあまりのニュースに世界中が注目した。そのイギリスを、2012年に、ロンドンオリンピック閉幕から数ヶ月経った時期に約20年振りに訪れた。
 そのとき初めてあのロンドン・アイ(観覧車)を目にした。久し振りに訪れた土地で、最後に訪れたときには無かったものを目にして大きな違和感を覚えたことが、トラベラー各位には何度もあると思う。
ロンドン・アイを一目見て、何だか急に現代的なものが、歴史ある場所に無理矢理嵌め込まれたような感じがして、何ともいえない違和感を感じた。これはここじゃなくてもいいのに・・・と思ったのは、私だけではないはずだと信じたい。
 しかし、若い人達がロンドンと耳にすると、ビッグ・ベンやダブルデッカーよりも真っ先にこの観覧車を思い浮かべる時代がもう来てしまっているのかもしれない。



屋根のない観光バスの二階席から撮った一枚です。
ビッグ・ベンだけスッキリと眺めたいと思いませんか?(笑)
ロンドンらしさ半減・・・。



テムズ川沿いに観覧車。う〜ん・・・。


 前回訪れたときには気が付かなかったが、今回はおやっ?と思ったものもあった。これはネガティヴな意味ではない違和感だった。
以下の写真を見ていただきたい。

 
メインストリートから一本奥に入ったところで、車の通りが比較的多いところでよく目にしました。
字の並びや大きさがあまり均一ではないなあと思うのは、私が日本人だからでしょうか?(笑)



 この横断歩道の標示を見たときに、20年前に訪れたときにはあっただろうかとすぐに思いを巡らせた。
 人間の記憶なんて曖昧なことが多いから、忘れているだけかもしれないが、当時も街中をかなり歩き回ったにも関わらず、この表示を見た記憶がない。意地悪なイミグレーションで名高いあのイギリスが、ここまで親切だっただろうかと真っ先に思った。ご丁寧に注目すべき方向の矢印までしっかりと付いているし。
もしかしたら、歩行者と車の事故が後を絶たない等の理由のため、交通事故減少の対策の一つなのかもしれない。
 この表示を見て、何度も繰り返し頭の中で鳴り響いていたのは、あるお笑いタレントのギャグである「右肘、左肘・・・」であった。ロンドンで日本のお笑いタレント達のギャグが浮かぶなんてと自分に違和感を感じたが、たまにそのタレント達がそのギャグをテレビでやっているのを見ると、今でもこのロンドンの横断歩道にある標示をふと思い出す。

 最初は無愛想で単純な道路標示だと思ったが、何度も出くわしているうちに、文字一杯の標識や注意書きより、このほうがシンプルで、かえって伝わりやすいのではと思うようになった。何だか長い年月をかけて築き上げられたイギリス文化同様に、時間をかけてその有用さを説得されたような気になった。

 流石イギリス、これだけで終わりではなかった。街の中は一方通行のところだけではないので、左右両方向に注意を促すものもちゃんと用意してあった。



これを発見したときに、あのギャグの「・・・交互に見て」まで
ハッキリと頭の中で響くようになりました(笑)。


 「両方見なさい」もちゃんとあるのだ。両方向に矢印を付けなかったのは意識してなのか無意識なのかはわからないが、統一性がないと思ってしまうのは、やはり私が日本人だからだろうか。実際は両方向に矢印があるところも存在している気がしないでもないが。
 このようなちょっとしたことだが、気が付いてしまうと面白くなってくることが旅先には溢れているのではないかと思う。目的地まで急いで歩みを進めるのもよいが、赤信号で立ち止まったときにキョロキョロしてみるのも、旅先では一興ではないかと思う。
 横断歩道で信号に従って立ち止まり、一呼吸おいてキョロキョロすると面白いものに出くわす・・・ということを発見してしまった私は、次の旅先でもまた見つけてしまうのでした。
それはまた改めて書きます。
 まあ、つづく・・・ということで。