

『旅先で食べたもの・3』
旅に出ると、現地のものを現地の人達が食べているところで食べたくなる。帰国と同時に日本食が食べたくなることがあるが、海外の旅先で、日本食が欲しくなることはない。
2011年6月、リフレッシュ休暇を利用して、タイのチェンマイへ行った。詳しくは「行きタイ」に書いたので、ここでは省く。
タイ料理は、嫌いではないのだが、何だか物足りない気がして、普段東京では自ら進んで食べに行くことは少ない。
ホテルの裏を少し歩くと、その一帯は静かで、住宅やお寺がある。その一角にこじんまりしているが、綺麗なカフェレストランがあったので入ってみた。そこで、チャンビールとグリーンカレーの遅いランチを摂った。注文を済ませたあとで、後に店主と分かった男性が、現地で発行されている日本語
のフリーペーパーを持ってきてくれた。
都合2回食べたWrap & Rollのグリーンカレー
久し振りに食べたグリーンカレーは、「グリーンカレーってこんなに美味しかったっけ?」と思ったほどだった。これが引き金となり、この旅はグリーンカレーを食べ歩いてみようと思った。結局このお店には都合3回訪れることになる。(3回のうち1回はビールのみ)
食事が終わって落ち着いてきた頃に、改めてメニューをよく見てみた。このお店の名前とロゴはどこかで見たことがあると思った。ゆっくりと思い起こしてみると、ベトナムのホーチミンでゴイクオン(生春巻き)を食べに入ったお店と同じ店名で、店名のロゴも同じだった。店主にそのことを告げるととても驚いていた。その驚き方に何となく事情が伺えた。帰国してそれぞれのショップカードを見比べると、可笑しくてしばらく楽しめた。旅をしているとこういうことがあるのだなと思った。
翌日の夕方トゥクトゥクに乗って、雑貨類などが豊富だというニマンヘミン通りまで行った。ホテルからは15分くらいだっただろうか。道中の景色が歩いているだけでは見ることが出来なかったところが多かったので楽しかった。ここはメインストリートよりも、横道にどんどん逸れて行ったほうが面白そうだということに、ニマンヘミン通りを歩き始めてしばらくすると気が付いた。横道を散策し始めると、旅の気分が盛り上がってきた。横道で見つけた、清潔そうなタイ式マッサージの店でマッサージを受けた後で、グリーンカレーを食べさせてくれそうなタイ料理屋を探した。メインストリートだけを歩いていただけでは見つけられなかった、これはと思った店があったので入った。
何だか期待できそうなその店の名前は Khun Mor’s Cuisine。
この旅で改めて好きになったタイのビール、チャンビールを飲み、お薦めだというソーセージを食べながらグリーンカレーを待った。
グリーンカレーを待っている間に飲んだチャンビールと店お薦めのソーセージ
もう一本ビールを頼もうかなと思っていると、グリーンカレーがきた。
Khun Mor’s Cuisineのグリーンカレー
ホテル近くのカフェで食べたものより少々辛かったが、美味しく食べられた。ここのグリーンカレーも美味しかったので、東京へ帰ったらグリーンカレー巡りをしてみようと思った。それから、タイのビールといえばシンハービールだが、チャンビールのほうが今回は美味しく感じられた。グリーンカレーにチャンビールという、僕にとってのタイ料理の定番が完成した。
このチェンマイでのグリーンカレーのように、シンガポールのチキンライスや香港の飲茶等、一日の食事のうち一食を滞在中同じものにして食べ比べていくのは楽しい。気に入って通い始める店が出来れば、そこは行き着けになり、居心地の良い場所となる。次の旅先では何を食べ比べようかと今から楽しみである。
追記:
チェンマイでグリーンカレーを食べている時に、お世話になった故百瀬博教さんが、今ではAKB48のプロデューサーとして有名な秋元康さんに薦められたカレーをニューヨークで食べた時の話を思い出しました。(「空翔ぶ不良」マガジンハウス刊)
それから、もし僕が百瀬さんと都内のどこかへカレーを食べに行って、グリーンカレーを勧めたら、一口食べた後できっと、「これはちょっと違うな。口直しにM田屋へ行こう。」と仰っただろうと思いました。
お世話になった百瀬博教さんがお亡くなりになって4年経ちました。
命日の1月27日には生前連れて行っていただいた浅草のフジキッチンさんへ今年も行って、自分なりに供養しました。
生前座っていらしたカウンターの端の席には、スノードームがさり気なく飾られていました。
今年も毎月一作ずつ書いていくつもりです。
天国から見守っていて下さい。
合掌。